社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


 地味女のまま変わる気のない私にあきれて、社長は変身させることをやめたのだろうか。

 私を変えたいという欲求を、失ったのだろうか。

 せっかくつながっていた糸を、一刀両断されたような衝撃に襲われた。

 うそ、待って。

 それはやだ。

 どんな形であれ、社長が私に興味を持っていてくれたのなら、そのまま私を見ていてほしい。

 そんなふうに考える自分に、驚く。それと同時に胸がざわついた。

 待ってよ。まさか……私、社長のことを……?

 気持ちを落ち着けるように、サイドテーブルに置いた紙カップを取り、一気にあおる。

 その瞬間、膝に抱えたバッグの中でスマホが震えてぎくりとした。カップを戻してスマホを取り出す拍子に、内ポケットにしまってあった口紅が転がり落ちてしまった。