そう、私は社長の好みだったのだ。
変身させ甲斐のある、地味な女として。
振り返るようにして、入社してからの社長の様々な言動を思い出した。
処分するという新庄さんの服の中から私に似合うものを選んでいるとき。私の前髪をかき上げて額を出した方がいいと言ったとき。メガネを奪って『似合わない』と言い放ったとき。
確かに、生き生きしているように見えたかもしれない。
そこまで考えてから、あれっと思った。
でも、あの時以来、社長は何も言わない。
眼科とサロンに行かせてもらったのに、結局地味女に戻ってしまった私に、外見を変えろと迫ることは一切ない。
「もしかして……あきらめられた……?」
自分で口にした瞬間、心臓がいやな音をたてた。

