誰にも手懐けられない猫みたいにつんとした顔でフロアを見やっている弁護士先生を、呆気に取られたまま見つめた。ぽかんと口を開けている私に、結城さんがとりなすように言う。
「前原さん、気にしないで。たしかに新井さんは人を変身させるのが楽しいみたいだけど、それは職業柄当然のことだ。それに、君に関してはきっと違う理由だと思うよ」
「あ、いえ。別にショックを受けてるわけじゃないので、大丈夫です」
必死にフォローをしてくれようとする結城さんに、笑みを返す。
「むしろ腑に落ちたっていうか。ものすごく納得しました」
転職フェアの会場で私を見て社長が微笑んだのも、採用を決めてくれたのも、地味な見た目の私を変えようとしてくれたからなのだ。
『じゃあ単純に前原ちゃんが社長の好みだったのかもねー』
いつか公園で板倉さんに言われた言葉がよみがえる。

