社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~


「不機嫌な顔でな」

 付け足された弁護士先生の言葉に心の中で同意しながら、結城さんの隣に腰かける。ヒール靴にかかっていた重心が腰に移って、足がじんわりとほぐれた。気づかないうちに疲れが溜まっていたらしい。

 今日は金曜日だ。一週間分の疲労が蓄積しているうえに、今週は外出が主で駆けずり回る仕事ばかりだったから、一度座ると立ち上がれないくらい足にきている。だとすれば、一緒に動き回っていた社長だって相当疲れているはずだ。

 遠くの席に連れていかれた社長の、人混みから飛びぬけた頭を眺めながら、私は隣に座る彼らに水を向ける。

「おふたりは、社長と大学時代からのお知り合いなんですね」

「ああ、研究室が一緒でね。俺と峰島は同期で、二年上の新井さんにはよく飲みに連れて行ってもらったよな」

「あの人、立ってるだけで目立つから、一緒に歩いてると女が群がってきて面倒なんだよな」

 弁護士王子様の面倒そうなつぶやきに、通りを歩いたときの様子を思い出して苦笑してしまった。