「ちょうどよかった! 今『NATCH』の担当と話してたんです。紹介したいので、あちらの席に行きませんか」
社長が承諾する前に、小柳さんは強引に腕を掴んで社長を引っ張っていってしまった。ついていくタイミングを逃して取り残された私の耳に、イケメンたちの声が届く。
「あーあ。すごいな、あの女性(ひと)」
「むやみに笑顔を振りまくから面倒なことになるんだよ。新井さんは自分のスペックを軽視しすぎだろ」
「峰島……。笑顔を振りまかなきゃ社長業なんてやれないぞ」
「そうかよ。経営者は大変なこったな」
立ち尽くしている私に気づき、ソファに座った結城さんが隣の座面をぽんと叩く。
「前原さん、座ったら? 新井さんならきっとすぐ戻ってくるよ」

