薄闇に沈みかけた繁華街の裏手、車がすれ違えるくらいの幅がある裏通りには人が溢れていた。

「すごい……」

 道路をふさぐ勢いで談笑している人々は、一様に着飾っている。手に赤いドリンクカップを持った何人かは、通りに面したガラス張りのショールームから零れ出てくるアップテンポの音楽に体を揺らしていた。

 LANAといくつかのファッションブランドが合同で開催した展示会はどうやら大盛況だったらしい。

「ファッションの展示会って、こんな感じなんですね」

 出入口に立ったままコンクリート打ちっぱなしのしゃれた内装を見ていると、隣にいた社長がスタッフから受け取ったドリンクを私にひとつ差し出してくれた。

「昼間はバイヤーがメインだから、もっとビジネス色が強い。その分、アフターパーティーは気軽に楽しんでくださいっていうスタンスが多いかもな」