「いらっしゃい」とビジネススマイルを見せる社長を、彼女たちはすぐさま取り囲んだ。

「このあいだのワンピ、めちゃくちゃよかったよ。着やすいしかわいいし、買って正解だった。今度インターネットテレビの収録があるんだけど、夏っぽいいいアイテムある?」

 親し気な口調の彼女たちを連れ立って、社長は展示コーナーに向かっていく。そんな彼にぴったり寄り添う彼女たちは私と同じくらい背丈があるのに、ウエストは私の太ももくらいしかないんじゃないかと思うくらい、めちゃくちゃに細い。

 同じ人間とは思えない……。

 圧倒されながら、社長を挟んで談笑する彼女たちを見つめた。

 あの一帯だけ、尋常じゃないオーラを放っている。まるでスポットライトに照らされているように、周囲がぼやけて見える。その中に、わが社のトップは違和感なく溶け込んでいる。