「そう、やっぱり170センチあるのね」
なんとなく気まずくて目線を落とした。
学生のとき以来身長を測る機会がなかったから、もしかすると本当に170センチを超えている可能性もあるけれど、私はずっと169センチと言い張っている。
だって169センチと170センチでは印象が大きく変わる。十九歳と二十歳では一歳しか違わないけれど、十代と二十代と言われたら捉え方が大きく変わるのと同じだ。
小学生の頃に「巨人」とからかってきた隣の席の男子とか、中学のときに「でかい」「じゃま」といじめてきた私より背の低い男子とか、「前原ってでかいのに存在感ないよな」と陰口を叩いていた高校のクラスメイトたちの顔が思い浮かぶ。

