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「兵が疲弊してきた!先頭の部隊を撤退させろ!

入れ替わりで第二軍が進軍。
決して相手に隙を見せず、攻勢を緩めるな!」





戦場には、積み重なる疲労と苛立ちが満ちていた。

早くに決着がついてしまえば、こんなことにはならないのだが。
戦争というのは当たり前のことながら、お互いに必死なものでそう簡単に戦況は動かない。













「........思っていたよりも、かなりしぶといな」



動かぬ戦況。
溜まる兵の疲弊に下がっていく味方の志気。

そんな中で苦い顔をして呟くのは、この場を指揮する若い少年。
跳ねが少ない青がかった髪をほんの少し揺らして、ライルは遠い大地の向こうを見た。






向こうに見えるのは、無数の人の影達。
遠くから見るそれはまるで塵屑のようにも見えるが、あれは紛れもなく人だった。


敵も味方も入り乱れ、生きている者も居れば死んでいる者も居る。

生きている者は勝利に向かって死んでいる者を土同然に踏みしめて、武器を振るう。
全ては勝利のために。
















「疲れが出てきているのは、こちらばかりじゃない!

此処は皆で耐えるんだ!
これを乗り切れば、必ず我々に勝機がある!」




「はい....っ!」









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