「............さぁて。
久々に本気になりますか」
翳していた本をパタリと閉じて、それを懐にしまった。
それから何も無くなった手の平を再び空に突き上げて、その手に力を込めた。
.......瞬間、その手には長い影を織り成す槍が握られていて、その刃の煌めきを紅の瞳で見つめる。
ブウゥンッ。
鋭く光る紅の瞳に在る煌めきは、いつものものとは違った。
ジェイドはその瞳を煌めかせたままに、握り締めた槍を大きく一振りさせる。
空気を斬る音がして、周りの緑が巻き起こった風にざわめいた。
ジェイドの一つに結われた長い銀髪が華麗に揺れた。
―――ッ。
緑のざわめきが静かになって、揺れる髪がフワリと元の位置に戻った。
そんな中でジェイドはフッと笑うと、握り締めた槍をまた何処かへとやりそのままその場を後にした。
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