適当に笑って、適当に生きれればもうそれでいい。


そう思って無意味に放浪を繰り返していた。

放浪ってのもそれなりには楽しかった。
だが、常に俺の中には何か虚無感に似たものがあった。







そんな最中だ。カイムと嬢ちゃんと出会ったのは。


本当に始めはいつもの調子だったんだ。

さして興味は無かった。
ただ適当に馴れ合って、ただ適当に別れて終わるつもりで話し掛けた。

深く関わるなんてこと、想像すらしなかったのに。
深く関わってしまいそうになったら、すぐに切り捨てられたのに。






俺は今も、こうして嬢ちゃん達と一緒に居る。

もう適当じゃない。
切り捨てることなんて出来ないくらいに、俺としたことがこんなに深く関わっちまった。



これも運命ってやつかい?
やっぱり人ってのは、運命には逆らえないものなのかい?

........もしかしたら俺は嬢ちゃんがルシアス姫さんだと心の何処かで、初めから気が付いてたのかもしれねぇな。
だから、切り捨てることも出来なかったんだな。





















「..........でも何で、今更気が付いちまうんだろうねぇ」




そうなんだよ。
もっと早く、気が付いていればよかったんだ。

嬢ちゃんがルシアス姫さんだってこともそうだが、それ以前に姫さんが生きているっていう可能性に。


共に旅する中、嬢ちゃん自身も気が付き始め感じていただろうその壮絶な不安に、この可能性にいち早く気が付いてやればよかった。
些細だけれど引っ掛かることくらい、幾つもあったのに。
見逃さなければよかった。




此処までズルズルと自分を引き吊ってきた根本的な原因は、ルシアス姫さんが生きているって可能性を信じきれずに断ち切ってしまった俺自身の諦め。

あの時、ずっとずっと今まで諦めずに姫さんを捜し続けていたのなら。
多くの人間を殺すことも無かったし、ここまで自分が堕落することも無かっただろうに。








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