mirage of story

 
 




再会。
それと言うのも彼が生き別れた彼女を捜すそのために、あの日以来この国を離れていたからである。



どんな些細なことでも構わなかった。

彼女に関わり続けているという意識。
それを失えば、孤独と哀しみに押し潰されそうだった。





........。
彼がこの国へと戻ってきた時のこと。
そんな彼に城へ来るようにと知らせが来たのである。



懐かしい城。
冴え返る彼女と過ごした日々。

だが、彼女は居ない。
計り知れない哀しみと息が詰まりそうな程の孤独が彼を襲う。



彼女の居ない城。

あの日以来のこと。
実に四年もの月日が経っていることに、この時改めて気が付いた。






――――。

ロアルは言う。
"彼女の指輪が見つかった"と。

指輪。
それは正に、戦いの引き金となったあの指輪。



驚いた。
あれほど求めた彼女へと繋がる手掛かり。
それが今、彼の原点であるこの場所に在るというのだから。




彼女は、やはり生きていた。

指輪の発見。
それは当然彼女の生存を表す―――あの指輪と契約の意味を知っていた彼は、結び付く事実に胸が弾んだ。




ッ。

喜びの中で続き聞こえるロアルの言葉。
希望が崩れる音。


.......。
ライルは耳を疑った。








指輪は―――――彼女と共には無かった。
指輪を持っていたのは彼女でなく人間の娘であった、と。


生の希望は、一気に死の絶望になった。

指輪と彼女は一心同体。
彼女と共に無いということが意味するは、彼女の死も同然であると彼は知っていた。

彼女の死。
その事実だけが重く響き渡った。






認めたく無かった。

皆が彼女の生の希望を諦め行く中、ただ一人だけ諦めなかった彼の想い。



時が経つ毎に幾ら絶望感に打ちのめされようとも信じ続けてきた。
それなのに、彼女はもう居ない。




人間。
彼女と引き裂かれることとなった元凶、その人間が彼女を殺したというのか。

何の罪も無い、優しき彼女を。
 
 
 
 

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