カイムが自分の全てを受け入れてくれた。
突き放される。
そう思っていたのに、カイムはこんなにも優しくて。
受け入れてくれた事実は嬉しいはずなのに、私の中にはそれより大きい罪悪感。
私は貴方の敵である魔族であるはずなのに、それを押し殺して受け入れてくれているのではないか?
貴方は、優しいから。
そんな無理させたくない。
カイムの優しさを利用して自分に甘えたくはない。
受け入れられることで私は逆にどうしたらいいのか、分からなくなってしまう。
「シエラが誰であるかとか、そんなことはどうでもいい。
俺は俺の知っているシエラも俺の知らないシエラも、全部ひっくるめて貴方が好きだから。
戸惑うのも分かるよ......痛いくらいにね。
でも俺は貴方がどんな選択をしたとしても、受け入れるつもりだ。
どんな選択でも、それが貴方の意志だというなら」
優しいだけじゃない。
それはとても、とても真剣な声で私を捉える。
カイムは.....彼は本当に私のことを大切にしようとしてくれているのだということが分かって、その気持ちが決して偽善じゃないことが分かった。
私を受け入れる。
それは私を喜ばせるための言葉でなければ、私を陥れるための嘘の言葉でもない。
それは、紛れもない彼自身の意志だった。
「.........ありがとう」
それしか、もう私には言えなかった。
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