mirage of story











「もう私......どうすればいいのか分からない。

シエラにも、ルシアスにも今の私じゃなりきれない!
シエラとしてやるべきことも、ルシアスとしてやるべきこともあるのにっ!

それは分かってるのに......何にも出来ないよ」



痛いくらいに叫んだ。

これはカイムに対しての感情ではない。
これは何も出来ない弱い自分に対しての戒めの叫び。





言葉に出すと、涙が止まらなくなった。


こんな状況を自ら望んだわけじゃない。
出来ることならば何も知らないまま―――もって言うならばこんな運命なんて歩みたくはなかった。





平凡に生きたかった。
ただ幸せに生きたかった。

それはルシアスの時もシエラの時も同じだったはずなのに。
その二つが願っても、運命は変わってはくれなかった。








どうして自分が。
どうして私が、こんな想いをしなければならないのか。

私が何か神への冒涜をしたというのか。


思い始めたら止まらなくなる。
自分の不幸をただ嘆くのはみっともないと思っていたが、私はもう嘆かずには居られなかった。
















「.........神様は.....私に何をしろって言うのかな」




泣いて叫んで疲れた私は、最後にうなだれるように呟く。


全てを話して、突き放されるなら突き放されてしまって。
突き放されて独りになって、そのまま独りで運命に為されるままで居た方が―――もしかしたらずっと楽だったのかもしれない。








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