今がその機会だ。
全てを話してしまう、その機会なのに。
「............」
私は短く返事をしたきり、無言のまま。
気まずい沈黙が続いて、暫く平行線の状況が続いた。
でも此処で話さなければ、こんな状態のままズルズル後に引き摺るだけ。
どんな道にだって進めやしない。
それは、駄目だ。
「カイム........」
「何も言わなくていいよ」
そう思って頑張って振り絞った言葉。
でもそれは無情にも、穏やかで優しいままのカイムの声に遮られ消える。
何も言わなくていい。
その言葉が成す意味が、私には呆れの意味にしか聞こえなくて私の胸がグッと締め付けられる。
あぁ、呆れられた。
これでやはり私はカイムに、裏切りの代償として突き放されるのか。
カイムの声に、諦めと共に納得する自分が居た。
ごめんなさい。
絶望と同時に、自然とそんな言葉が零れた。
でもそれは絶望の反動で声には出されずに、私の中だけで留まる。
カイムに止められた私の言葉の続きは出て来ずに、また空間に沈黙が迸った。
猛烈に、私は何処かに逃げてしまいたかった。
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