「.......だが名乗ってもねぇのにそんなことが判っちまうなんて気味悪いねぇ?
こっちはあんたが何者かもよく知らないのに、そっちは何でもお見通しって訳か。
うーむ、何か納得いかねぇなぁ......」
「ははっ。すまないねぇ。
一応これでも組織の一番上に立つ身でね。
あらゆる情報を知っておく必要がある。もちろん君達のことも例外ではなくてね。
気を悪くしないでおくれ」
苦そうな顔をするロキ。後ろで二人顔を見合わせて戸惑うカイムとシエラ。
ジェイドとジスはそんな三人を端に、共に笑みを浮かべる。
互いにその笑みから内の感情は読み取れなくて、浮かぶのは上辺だけの笑みであって本心では相手を探り合っているようだった。
「........さてと。
君達のことも少しながら知っているよ。何しろ私が君達を此処に連れてこさせた張本人だからね」
穏やかに上辺で笑うジスの皺の依った顔。
その顔に煌めく強い獣のような鋭い光を放つ瞳は、そう言うとジェイドからその後ろのカイムへと移される。
「君はカイム君だったね?
歳は十八。生まれは偏狭な名前もない村だったね。
両親は母親が人間で父親が魔族か。
村の中でも剣の腕は優秀。知識もそこそこ持っていて機転は効く。
それを生かしてこうして今、目的を持って旅をしている。その旅の途中、君達がランディスという街の人々を救いその噂が私の耳に届いた。
.........そしてその旅の目的は恐らく、父親を捜すことかな?」
少しばかりと言う割には、随分と詳しいご説明だ。
突き詰めれば訂正の箇所はあるが、その説明の粗方は正確でカイムは少し怪訝そうな顔で頷く。
.

