「ロキよ、ご苦労だった」
「ジス殿......貴方がわざわざこんなところまで出向かなくとも、私がこの者達をお連れしましたものを」
そう言うとロキはジスに向かって、跪くと深々と頭を下げた。
忠誠。
その光景に一瞬で浮かび上がったのは、そんな言葉。
今まで知っていたロキの姿とは全く違う姿で、数歩後ろに居る三人は少しだけ驚いて彼を見る。
その視線に、ロキは気が付いたのかハッとしたようにいつもの無愛想で無感情なロキへと戻る。
「...........ジス殿。
この少年とこの少女。この二人の者達が、連れてくるよう命を受けた者達です。
一人余計な者も付いてきてしまいましたが」
無表情に戻ったロキは、そう言い後ろを振り返る。
カイム。シエラ。
それから少し躊躇ってジェイドに目を向けると、また前を向き直り跪いたままジスを見た。
「余計な者ってのは心外だなぁ、ロキちゃん」
後ろでジェイドがわざとらしく拗ねたような声を上げる。
だがロキはそれを、当然の如く聞こえていないかのように華麗に無視をした。
これはもうすっかりお決まりのパターンである。
「いや、そんなことはない。
彼は余計などではない。とんだ拾い物だよ。
........君はジェイド君だったかな?
私は君を大いに歓迎しよう」
無視をするロキの変わりに、思いがけないジスの言葉が答えた。
ロキは予想とは違うジスの反応にビクッと身体を震わせ驚く。
「おぉ!じいさん!よく判ってるじゃないの♪
何処かの誰かさんと違って。
なぁ、ロキちゃん?」
「...........」
そしてジェイドは一瞬驚き眉を上げるが、すぐにいつもの笑みを浮かべて口を開く。
満足そうに笑うジェイドに、ロキは黙ったままにほんの少しだけ嫌そうに顔を歪ませた。
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