「嬢ちゃん?」
「シエラ?」
反応しない彼女に、二人は思わず語尾を疑問形にして呼ぶ。
「........えっ?
あ、はい!何でしょう?」
その声にハッとしたように立ち止まるシエラは、まるで今までの二人の会話が一切耳に入っていなくてたった今気が付いたような声。
「何かあった?」
あまりにボーっとしているので、心配になって聞く。
「.......ううん、少し考え事していただけ。
ごめんなさい」
「そうか」
そう笑顔で何でもないように答えるので、カイムは安心して笑った。
「おいおい、二人揃って考え事かい?
考え事もいいが、たまには何も考えずに気楽にいくのも大切だ。そう、俺みたいに。
嬢ちゃん達はただでさえ危なっかしいんだから、考え事は程々にな?」
「........はい」
「すみません」
シエラとカイム。
二人顔を合わせてそう言うジェイドに答える。
「..........貴様の場合は、考えなさすぎだが」
前を行くロキが振り返りもしないで、ぼそりと言った。
それに後ろを行く三人は驚いたようにロキの後ろ姿を見つめるが、ロキはまるで何も無かったようにそのまま歩く。
いくら見てみても歩くロキの片方だけ長い灰色の髪が、優雅に揺れるだけである。
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