(母さんの仇.....私たち人間にとっての敵が、今私の目の前に居る。
―――この一年、探し続けたアイツが)
この一年、エルザの死を晴らすためにずっと、ずっとこのロアルを捜し求めてきた。
そのために自分の唯一の故郷さえも捨て、危険な世界へと身を投げた。
そう。
すべてはこの男のせいで。
だが、この短い一年という時の中では彼を見つけることは出来なかった。
情報はいくらか掴めた。
でも肝心なアイツの元へ辿り着くことは出来ないでいた。
そんな捜し求めた復讐の相手がここにいる。
シエラはどれだけこの時を望んだことだろうか。
「........ようやく見つけた、ロアルっ!
私がどれだけあんたを捜したことか!
―――仇をとる、この日を....どれだけ待ったことか!望んだことかっ」
シエラは今まで抑えていた感情が爆発したかのような勢いで言った。
ただずっと、このロアルという男を討つことだけを心においてきた。
........この男さえ居なかったら、エルザは。
エルザはまだ、生きていたのに。隣で笑ってくれていたのに。
ずっと幸せでいられたのに。
あぁ、憎い。
憎い、憎い....憎い。
シエラの瞳に悔しみ、哀しみ、そしてロアルに対する憎悪の意が込もった涙が溜まった。
「.......何を言っているのですか、ロアル様?」
ライルは、ロアルとシエラの間に何が起こっているのか分からない。
そう言った表情でこちらを見ていた。
そんな彼の声が、シエラを一瞬我へと返らせる。
「ロアル様、彼女は....魔族のはずです。
あなたも感じるでしょう?彼女から魔力を。
―――我々が捜しているのは、ルシアスの命を奪った人間のはず。
彼女が指輪を持つ者?ルシアスを死に追いやった者?
―――何かの間違いでは?」

