ギイィィッ。
ロアルの返事から数秒の間が空いて、重い音を立てながら扉がゆっくりと開く。
そして開いた扉から、ザッと現れる蒼い影。
ロアルが想像した、深く青い瞳の有能な配下であるライルの姿。
「失礼します。
お休みのところを、申し訳ありません」
「何用だ?」
「.....申し訳ありません。
どうしても、今日のうちにお話ししておきたいことが」
数歩部屋の中へと足を踏み入れ、深々と一礼をするライルの青い瞳が漆黒なロアルの影を捉える。
瞳に映るロアルの漆黒は、心なしかいつもよりも闇が深いように見えてライルはスッと眉を潜めた。
「......明日のことはもう話しただろう?
話したことが全てであり決定事項だ。それは変わらん」
「分かっています.....別に先程の話の大方に異議はありませんし、準備も粗方整いました。
ですが、ですが一つ今一度確認しておきたいことがあるんです」
ロアルとライル。
部屋の奥に居るロアルと扉を入った所に居るライル、両者の間には随分と距離があった。
話をするのには、距離が開きすぎている。
そう感じたライルは足を前に踏み出して、その距離をじわりじわりと埋めていく。
カツンッカツンッ。
......カツッ。
二人の距離が、互いに手を伸ばしてまだギリギリ届かないくらいのところまで縮まった。

