mirage of story









ザンッ。




「はぁ....はぁ.....」





引き抜かれた剣の先が床へと鋭く突き刺さり、静寂な空間の中にロアルの荒い息遣いが響く。

感情が剥き出しになっているように、ロアルは目を見開き血走った眼球で再び手紙に目をやった。










「........はぁ....はぁ.....まだ奴の意思が残っておるか。

人という生き物は、本当に―――しつこい」





視線を送る先。

ロアルの血走り見開かれた漆黒の瞳に映るのは、グシャグシャになり床へと落ちた一枚の手紙と、その横すれすれに突き立てられた鋭く輝く剣の光。





ロアルはそれを見つめ、荒い呼吸で苦しくなった胸を服の上から押さえつける。

暴れだしそうな程に沸き上がる何とも言い難い感情を、こうして押さえつける。



力の込められる指先。
きっとその服の下の肌には、くっきりとその指の後が残っているはず。

ギリギリと突き立てる爪に、彼の纏う質の良い服の細やかな繊維が食い込む。







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