〜3〜
"お久し振りです。
貴方に手紙を書くのは、これが初めてね。
もう貴方に関わることはないと思っていたのですが、どうしても貴方に言っておかねばならないことがあったのです。
今更のこのような手紙。
無礼だということも承知の上、この手紙が貴方に届かないかもしれないことも承知の上です。
ですが、どうしても貴方にもう一度だけ確認をしたかったの。
私達の...........愛しい息子のことで"
一枚の紙切れに、並ぶ無数の小さな黒い文字。
罫線がないというのに、まるで何かを下に当てて書いたように真っ直ぐに並ぶ文字からは、書いた人物の几帳面さが思い浮かぶ。
これは手紙。
ペンを手に取り想いを綴った一人の人から愛する人に宛てた、最初で最後のラブレター。
今そんな手紙を手に取るのは、一人の男。
自分を愛した人からの手紙。
自分が愛した人からの手紙。
今は亡き、最愛の妻からの手紙。
そんな手紙を手に取った男は、紙の上に連なる小さな文字に目を落として笑う。
その笑みは不気味で艶やかで、醜悪で。
そして何より闇が濃い。
まるで忌々しい何かを見るように、男は最愛の人からの手紙を見つめる。
「.............もう二度と、お前と会うことはないのだな」
男は静寂の中で、囁くように言葉を漏らした。
"お久し振りです。
貴方に手紙を書くのは、これが初めてね。
もう貴方に関わることはないと思っていたのですが、どうしても貴方に言っておかねばならないことがあったのです。
今更のこのような手紙。
無礼だということも承知の上、この手紙が貴方に届かないかもしれないことも承知の上です。
ですが、どうしても貴方にもう一度だけ確認をしたかったの。
私達の...........愛しい息子のことで"
一枚の紙切れに、並ぶ無数の小さな黒い文字。
罫線がないというのに、まるで何かを下に当てて書いたように真っ直ぐに並ぶ文字からは、書いた人物の几帳面さが思い浮かぶ。
これは手紙。
ペンを手に取り想いを綴った一人の人から愛する人に宛てた、最初で最後のラブレター。
今そんな手紙を手に取るのは、一人の男。
自分を愛した人からの手紙。
自分が愛した人からの手紙。
今は亡き、最愛の妻からの手紙。
そんな手紙を手に取った男は、紙の上に連なる小さな文字に目を落として笑う。
その笑みは不気味で艶やかで、醜悪で。
そして何より闇が濃い。
まるで忌々しい何かを見るように、男は最愛の人からの手紙を見つめる。
「.............もう二度と、お前と会うことはないのだな」
男は静寂の中で、囁くように言葉を漏らした。

