mirage of story

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そんなこんなで、事の始まりから早二週間。



あれからジェイド達は、結局メリエルに十日程留まった。

あの図書館の膨大な資料の中から、これから先で必要になりそうなものを漁った。
それと共に、長旅で疲れた身体をメリエルという敵の居ない安全な空間で休めた。



そしてジェイドはセシルから内密に借り受けた、新世界白書の原本に手掛かりを捜すべく読破をしようとした。







どれに関しても、とても十分な時間だとは言えなかった。だがロキという無愛想な男が待っていると思うとどうも気が休まらなくて早めの出発に踏み込んだのである。




その時、ジェイドはまだ読みかけで手掛かりを掴めかねていたが、新世界白書の原本は大事な遺産であり、これ以上セシルに迷惑を掛けるわけにはいかないと彼女に返却をした。

彼女はその時は受け取ったが、内では何かを目論んでいたようで、ジェイドがメリエルを発つ直前に彼の荷物の中にそれを―――新世界白書を一枚なメモを添えて紛れ込ませていたのである。



"これは私達より、貴方の方が必要としているわ。
貴方なら役に立ててくれると判っているから、私は貴方にこれを託します。


心配は入りません。

ジェイド。
どうか.....ご無事で"





おっとりしているように見える彼女の大胆すぎる程の行動。
 



ジェイドはメリエルを出た後にそれに気が付いたが、引き返し返しにいこうとはしなかった。



もちろん彼女のことは心配だった。

だがそれ以上に、彼女の勇気を想いを無駄にしたくなかった。