それぞれを一瞥してから、シエラへと視線を止めてそう言葉を続けると、ロキはスッと身を翻し背を向けた。
纏うマントと彼の髪がフワリと宙を舞う。
フワリと舞った髪がパサリと乾いた音を立て落ち着き、それからほんの少しだけ顧みて軽く会釈をした。
「それでは」
短くそう言って、一本長く続く廊下の先へとロキは歩き出した。
足音も立てず、静かにそのまま廊下の先の暗闇に姿を消していく彼。
その姿をその場に残された三つの視線が追った。
「........何なんだ、あいつは」
廊下の向こうに完全に消えてしまった彼の背に、ジェイドは呆れたように眉を潜め呟いた。
それから暫らく何とも言えないような空間の中、残された三人は何もしないままにただ彼の消えた廊下の先を見つめていた。

