対照的な、でも何処か似ている二人の瞳。
二人の間の空間、それを取り巻く空間が重々しくゆっくりと流れていく。
その空間に居る誰もが言葉を発すことなく、蝋人形のように動かない。
異様な空間の中に、その中心にいる二人と巻き込まれたシエラ達が取り残されていた。
「...............嬢ちゃん達はどうするつもりなんだい?
詳しくは部外者の俺には判らねぇが、こいつの言う通り付いていくのかい?」
ゆっくり流れる時の流れに暫らくの間、誰もが逆らわずに居た。
そんな中、ジェイドの瞳が向き合うロキから後ろに居るシエラとカイムの二人へと移され、そして二人に向かって言った。
これ以上、この空間の持つ異様な雰囲気に耐えられなかったのか。
それとも自分と相対するロキとの会話に、進展が見いだせなかったのか。
ゆっくりと流れる空間を破った彼の心は見えないが、もうすでに彼の言葉の矛先はロキに向けられてはいなかった。
「俺は嬢ちゃん達次第だ。
嬢ちゃん達があんたに付いていくっていうなら、そちらさんの本望じゃなかろうが部外者の俺も付いて行かせてもらいますとも?」
顔に浮かべたままだった笑みを、そう言ってより一層濃くした。
その笑みとは裏腹に、言葉には痛々しい程の皮肉という朿があったが。
瞳の奥は真剣に、シエラとカイムを見つめていた。

