mirage of story








シエラの方を、ジェイドとロキが見た。



そのシエラの言葉を顔色一つ変えず無表情のままに聞いて、また黙るロキ。

ジェイドもそんなロキとシエラを交互に見て数秒黙り、それからニッと軽い笑いを顔に浮かべた。






「......まぁ、嬢ちゃんが言った通りそういうわけさ。

で、ロキさんだっけか?
そろそろ俺の質問に答えちゃくれねぇかい?
ほら、まだいまいち状況が掴めてないんだわ。俺は」





とりあえずシエラ達の様子を見るに、敵ではないことは確実なようだった。

今の言葉から、この男の名前がロキだということも分かった。


だがそれ以外肝心なことはいまいち掴めないままで、相手の素性は謎に包まれたまま。
シエラの説明でこちらの素性はそれなりに明かされたのに、こちらが何も知らないというのは納得出来ない。




ヘラッと相手が思わず油断してしまうような笑みで、ジェイドはロキに答えを促す。














「............私はこの方達を我等の元にお迎えすべく参上した者。名はロキという。


彼等には我等が組織に加わって頂きたく、我が主の命を受けてきた次第。

彼等には事情をお話したが、もう一人連れが居るとのことで共に此処まで来させて頂いた」





それから暫らくまた沈黙が続いて、それからロキがゆっくりとそう口を開いた。

男性特有の低い声が、何の感情も帯びない淡々とした調子で響く。
業務的にも聞こえるが、これが元々の彼の口調なのだと何処かで納得する。