ッ。
そう言うと同時に、ようやく二人の居る開いた扉の前までやってきたジェイド。
彼はそこまで来ると影の主が居るはずの場所の自分側の壁にトンッと手をつく。
そしてカイム達にではなくて、姿が見えないままな壁越しの相手にそう問い掛けた。
「........」
ジェイドは相手の返答を待つ。
だが、答える声はない。
「あ、あの.....ジェイドさん」
「お前等は黙ってな」
壁越しだが両者の間に流れる何処か嫌な空気に、その間に挟まれる形となったシエラとカイムはこの状況を説明しようと二人合わせて口を開く。
だがその言葉は、穏やかな口調ではあるが威圧感のあるジェイドの声に制されて虚しく消えてしまう。
「あんた、誰だい?
この嬢ちゃん達に何か用でもあるなら、俺が聞くぜ?
何せ俺はコイツラの、仲間兼保護者なもんでね」
あくまでも、ジェイドはいつもの口調を崩さない。
「........」
だが一方の相手は何も答えない。
壁越しに伝わってくるのはただそこに人が居る気配があるというだけで、それ以外何の感情も伝わってこない。
問いても壁の向こうから何の反応も感じないことから察するに、相手には答える気が無いのかもしれない。
ジェイドのことを相手にする気すら無いのか、それとも別の理由で答えたくないのか。
壁を挟んでの会話では、それもよく分からない。

