彼にとっては、本当の自分を見せないようにする術であるだけかもしれないが。
「.....は、はい。
街の中も凄く綺麗で、久々に色々ゆっくり見れました。
で、でも一つ」
ニカッと笑ってそう尋ねるジェイドに、カイムはシエラと困ったように顔を見合わせる。
暫らく顔を見合わせて、それからジェイドの方に向き直った彼等は、困った表情の上に少し笑いを重ねて答えた。
でも彼等にはそんなことより先に言いたいことがあるようで、答えた言葉に付け加えるように言葉を続けようとするが途中で口籠もってしまう。
「ん、何だい?」
何か口籠もる彼等に、ジェイドは促すように聞く。
彼等が口籠もっているのは後ろのあの影の主に関係していることは察しが付くが。
「えっとですね......でも、一つだけ困ったことが」
カイムが言った。
困ったことが起きていることなど、その顔を見れば判る。
聞きたいのは、その困ったことが何なのかなのだが。
そう思ったが答えを待つのめ何だか面倒になって、またそこで口籠もってしまったカイムに心の中でやれやれと思いながら助け船を出した。
止めた足を再び踏み出し、ジェイドが二人の元へと歩み寄る。
「..........嬢ちゃん達が困ってることってのは、何かい?
後ろに居るあんたと、何か関係があるんだろう?」

