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(ッ!)
シエラは声にならない叫びを上げる。
暗くなりかけた空を照らす炎。
それは村は一面を覆い尽くし燃える、炎の灯りだった。
夢か?
そう願うシエラの鼻に風に乗って焦げ臭い煙の匂いが辺りに漂う。
これは、幻覚なんかじゃない。夢なんかじゃない。
(嫌.....)
あの日と同じ炎。同じ煙の匂い。
頭を過る、同じ嫌な予感。
炎は大切なものを焼き尽くす。
そんな炎の中に村の人。そして唯一の故郷がある。
そう思うとシエラは居てもたってもいられなくなった。
シエラの中には、あの炎の中へ行くという恐怖や躊躇いは一切なかった。
ただシエラの中にはあの炎の中にいるであろう村の人―――シエラにとっての家族同然の存在を助けなければ。
それだけしかなかった。
シエラは走る。
あの日と同じ、煙の匂いを纏った風を受けて。
死を予感させる、風を感じて。
(村に近付くなって言った理由って......まさか)
風を受け、丘を駆け降りる中。
先程森の中で出会った少年ライルの言葉が蘇る。
あの言葉。
もし彼がこの今の状況を察してあの時言った言葉なら、なぜこうなることを知っていたのだろう?
風に漂う煙の匂いを感じて彼も悟ったのだろうか。
いや、でもそんな単純なことではない気がした。
(.......何者なんだ)
ライルは『この世界を平和にする』と言っていた。
ライルの言う『平和』とは一体何なのだろう?
そして今のこの状況。
何か関係があるというのか?
疑問は尽きなかった。
(ッ!)
シエラは声にならない叫びを上げる。
暗くなりかけた空を照らす炎。
それは村は一面を覆い尽くし燃える、炎の灯りだった。
夢か?
そう願うシエラの鼻に風に乗って焦げ臭い煙の匂いが辺りに漂う。
これは、幻覚なんかじゃない。夢なんかじゃない。
(嫌.....)
あの日と同じ炎。同じ煙の匂い。
頭を過る、同じ嫌な予感。
炎は大切なものを焼き尽くす。
そんな炎の中に村の人。そして唯一の故郷がある。
そう思うとシエラは居てもたってもいられなくなった。
シエラの中には、あの炎の中へ行くという恐怖や躊躇いは一切なかった。
ただシエラの中にはあの炎の中にいるであろう村の人―――シエラにとっての家族同然の存在を助けなければ。
それだけしかなかった。
シエラは走る。
あの日と同じ、煙の匂いを纏った風を受けて。
死を予感させる、風を感じて。
(村に近付くなって言った理由って......まさか)
風を受け、丘を駆け降りる中。
先程森の中で出会った少年ライルの言葉が蘇る。
あの言葉。
もし彼がこの今の状況を察してあの時言った言葉なら、なぜこうなることを知っていたのだろう?
風に漂う煙の匂いを感じて彼も悟ったのだろうか。
いや、でもそんな単純なことではない気がした。
(.......何者なんだ)
ライルは『この世界を平和にする』と言っていた。
ライルの言う『平和』とは一体何なのだろう?
そして今のこの状況。
何か関係があるというのか?
疑問は尽きなかった。

