"俺が守るから"


そう言ったのは、蒼い瞳の少年。
そして夢の中の小さな女の子は、彼に手を引かれ再び闇の中を駆け出す。





そして見えた、一筋の光。その光を掴むように伸ばした手と光が重なり、白い闇の中へ。

そしてその白い闇の中聞こえる、蒼い瞳の彼が放った"シエラ"という名。





夢の記憶がバラバラの断片となって、シエラの中を巡る。


 
その声は誰の声か?
自分とその声の主とは、どのような関係なのか?
それは分からない。


でも、確かにシエラは夢の中の暗闇で名前を呼ばれた。

そして彼はこう言った。
"生きろ"と。あの夢の中の少女に向かって。






生きろ。
それはあの夢の中の少女に向けられた言葉。

それなのにどうしてか。
心臓が強く脈打った。




それに呼ばれたシエラという名。

もしかしたら、あの夢の中の少女は.......。
そうとも思ったが、シエラの中に重なる記憶が無くてその思考は掻き消えた。








夢の中の彼。
蒼い澄んだ瞳の少年。

辺りが暗かったせいかよく顔は見えなかったが、あの蒼く青く光る瞳は忘れることはないだろう。
 

忘れることなんか、出来ないと思う。
闇に焼き付く、あの一筋の蒼を。