「彼等?」
「――――炎竜。お前には聞こえぬか。
....彼等の声が」
蒼き竜は、耳を澄ませる。
―――――ザワッ。
すると、聞こえてくる。彼等の声が。
....人の声が。
「彼等......人というものには、我等にも計り知れない力がある。
それは互いを思いやる力。その力が彼等を支えていくだろう」
まだこの時代、人は生まれたばかりで何も知らない
水竜たち竜にとっては、まるで赤子のような存在。
そんな自分たちより遥かに下等な人に世界を託す。
それは、今まで世界を築いてきた彼等竜たちにとっては苦渋な決断に思えた。
だが、静かに目を閉じ耳を澄ませる彼等の顔に苦渋の色は微塵もなかった。
その顔は何処かとても清々しく、また人を慈しむような慈愛の表情が浮かんでいる。
「彼等なら大丈夫だ。
だから我ら身を退き、彼等がこの世界の平和を守るための剣となろう。盾となろう。
.....指輪の中にこの身を封じ、彼等の力となろう。」
「それが、我等がするべき最大のことだ」
水竜の言葉。
その言葉に、炎竜は静かにただ頷いた。
―――――ッ。
蒼と紅。二匹の竜は目を開く。
そして自分たちが愛する世界の姿を、その宝石のように煌めく瞳に深く刻み込んだ。

