「そうか.....じゃあアイツがいきなり倒れたのは、あれのせいかも」
「?」
彼女の返事に、一人頷く。
思い当たる節。
どうやら彼はカイムがああなった理由が掴めたらしい。
「あ、すまないね。
嬢ちゃんにゃ、何のことだか分かんねぇよな」
一人だけ納得するジェイド。
一方何も分からないままのシエラの頭上には、あからさまな疑問符が浮かびクルクル回る。
―――。
そんな彼女の分かり易い様子に、彼は思わず笑いを零した。
「わ、笑ってないで何があったのか教えて下さいっ!」
「いやいや、すまないね?
ほら、あれだよ。
きっとアイツはあれを飲んじまったみたいだな、水か何かと間違えて」
ッ。
そう言い指差す。
その先には彼の言う"あれ"―――空っぽになったグラスが一つあった。
グラスの底には僅かに残る液体。
仄かに香ってくる香りから察するに、恐らく葡萄酒か何かであると彼女は気が付いた。
「ありゃ、さっきまで此処の親父と飲んでた物だが.....何時の間にか空っぽになってる。
よく見りゃ分かるだろうに、アイツ注意力が足らんな。全く、
ってことは、だ。
やっぱアイツは寝てただけ、しかも酔っ払って」
空のグラスを指先で弄り、ジェイドは呆れ顔で言う。
あぁあ、俺のタダ酒が。
そんなことをわざとらしくぼやく。
「す、すいません.....」
そのジェイドの呆れた顔を見て何だか申し訳なくなった彼女は謝る。
倒れたと思って心配してくれた彼を無実の罪で思いっきり疑い、挙げ句の果てに襟首を掴み睨み付けてしまったというのに。
当のカイムはただ寝ていただけ。
しかも、酔っぱらって。
自分のせいでないとはいえ、何だか面目無さすぎるではないか。
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