カタン。
彼女は静かに椅子から立ち上がる。
――――。
ッ。
そして手に握る剣を鞘からゆっくりと抜く。
細い剣身を窓から漏れる光に翳す。
穏やかな光が剣身に跳ね返り煌めく。
(........私は、今のまま私の胸にある目的を果たす。
本当の私がどんなだなんて.....今は、考えてる時なんかじゃないのよ)
今、集中すべきは魔族を倒すこと。殺された皆の仇を討つこと。
自分の存在についての疑問を言及することではない。
頭の中にある迷いや無駄な想いは時に重大な失敗を引き起こす。
その前に、頭の中から消し去らなければ取り返しがつかないことになるかもしれない。
自分のためにも。
そして自分を支えてくれるカイムのためにも。
今は、頭の中の不安なんて何処かに吹き飛ばさなければいけない。
シエラは、煌めく刃に一人無言の決意をした。
───。
彼女は頭の中の不安を押し込める剣を鞘の中へと収めた。
剣身は彼女の不安と共に鞘に収まった。
(シエラは私。私はシエラ。
─────他の誰でもない)
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