「さっきなんて隣同士で寝ちゃって......若いってのはいいねぇ」
「えっとあの、ジェイドさん?」
明らかなからかい。
だけれど彼には、それさえも通用はしないらしい。
........。
からかいの意には全くもって気が付かず、彼はジェイドが真剣に誤解しているのだと思い真面目にその誤解を解こうと言葉を探す始末である。
真面目というか、度を超した鈍感。
それがこのカイムという少年である。
「夜逃げでも愛の逃避行とか言うのでも無いですよ。
ただ俺とシエラは仲間なんです、同じ目的を持った仲間なんですよ。
それ以上でも以下でも無い、彼女は俺の大切な人です」
真面目な言葉。
彼女は大切な人だ。
その言葉は一見、愛の言葉にも聞こえてしまうが彼には全くその意図は無い。
それが彼にとってシエラにとって良いことかは判らないが、今の彼の言葉は彼女のことを純粋に仲間と思っての発言であった。
その声は強い意志の籠められた真剣な声だった。
「へぇ.....仲間ねぇ?」
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