城の中というのは何かと息が詰まるものだけれど、此処だけは違う。
この場所は開放感に溢れていた。
ッ。
二人はそんな太陽煌めく庭の中を進む。
小さな歩幅で歩みを進めてやって来るのは、一番奥にある古びた老木のその木陰。
随分長きの間をこの城と共にしてきたはずのその老木は、衰えつつはあれどまだ緑鮮やかな葉を枝一杯に付けていた。
葉と葉の間から零れる陽は眩しさを穏やかにしてくれる。
その袂にスッと腰を下ろした二つの小さな影は、隣同士寄り添いながら暫く心地良い時の流れに浸る。
「.........」
二人は暫く黙ったまま、風を愉しむように目を閉じていた。
静かに耳を澄ませる。
すると今まで聞こえなかった微細な音まで聞こえてきて、まるで違う世界に来たような気さえした。
「ねぇ、ライル?」
そんな静かな風の騒めき。
その中で静かな口調でルシアスはライルの名を呼んだ。
「ん?」
呼ばれたライルは閉じていた目を開き彼女を見る。
―――――。
だが呼び掛けた方の彼女はまだ目を瞑ったままで、その表情の穏やさにライルは思わず目が離せなくなった。
ッ。だがそんなライルの様子に目を閉じたままの彼女は気付くはずも無くて、そのまま言葉を続ける。
「........私ね、今日あんなことが目の前で起こって思ったの。
どうしたらいいか分からなくなったの」
相槌を突くように頷いた。
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