一方、ライルの方は何だか急に恥ずかしくなって少しだけ顔を赤らめた。
――――。
サァアッ。
そんな彼女の笑いと彼の恥ずかしさを吹き飛ばすように、二人の歩く廊下と繋がる庭から爽やかな風が吹き抜ける。
「─────風が気持ちいいね、ライル」
通り抜ける風。
それを体一杯に受けるように、彼女は大きく手を広げた。
その風は彼女のオレンジ掛かった茶色い長い髪を靡かせる。
ッ。そして二三歩後ろに居たライルへも次いでその風は吹き注いだ。
ライルはその風にほんの少しのルシアスの香りを感じた。
「あぁ、本当に風が気持ち良いな......ってルシアス!」
ライルも風を一杯に感じようと、手を広げようとする。
―――。ッ!
だがその前に、ルシアスが風の吹く方へといきなり走り出したので慌てて動きを一変させてその後を追い掛ける。
「待ってって!」
タッタッタッタッ。
彼女の背を追い掛けて走り出す。
ダッ!
足音を響かせて風の吹く先へと、いつも二人で遊ぶあの庭へと二人は飛び出した。
.......。
咲き乱れる花達。
そんな花達が香りを振り撒き太陽の光が一杯に降り注ぐ場所。
ルシアスにとってもライルとっても、一番大好きな場所。
「わぁ、眩しいね!」
屋根で太陽の光が遮られた廊下から、一気に走り出た二人は注ぐ太陽の眩しさに思わず目を細める。
時刻は正午くらいだろうか。
太陽が一番高くに昇って、辺りをこれでもかとばかりに照らしていた。
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