そう言う王の表情は何だか何処か哀しくて、見ているこっちまで少しだけ哀しくなった。
「でも!
.......それでもあんなの、酷過ぎるわ」
微かに涙が浮かぶ。
「......ルシアス。
今すぐには無くすことは出来ないが、時間をかけて無くしていくことは出来る。
私も出来る限りのことはするつもりだよ。
だからお前も、ずっとその民を思う優しい心を忘れてはいけない。
お前は―――この国を、民を守る姫なのだから」
王のその言葉は、優しくて温かくて何より威厳に溢れていた。
.........。
父も自分と同じ様にどうにかしていかなければいけないと心の底から思っているのだと感じ、彼女は安心を覚えた。
ッ。彼女は溜まっていた涙を拭う。
そして王と同じ強く威厳のある眼差しで言った。
「.......うん。絶対に忘れたりなんかしないよ。
少しずつだけしか出来ないけど、私は皆が笑顔で居られるような世界にしたいの。
人が悲しんだり苦しんだりしているのを、ただ放って置くような冷たい世界......私、嫌」
王は頷く。
「─────私、もし王様になったら悲しんだり苦しんだりする人が少しでも少なくなるようなそんな世界にするわ!
絶対に、絶対にしてみせるんだから、父様見ててね!」
普段はまだまだ子供で国のことや世界のことを全く知らないルシアス。
だけど何だかこの時の彼女は凄く大人びて見えて大きく見えて、ただ何も言えずに傍観していたライルに強い衝撃を与えたのである。
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