「分かった」
ライルも静かに答えた。
「姫様ぁ!
準備完了致しました!」
暫らくすると、急いで家の中へ駆け込んでいった男が今度は勢いよく掛け出てくるのが見えた。
.........。
男の格好は何処か先程よりも高そうな服になっていて、大きな馬車と従者が男の後から出てくる。
急いでいた割には要領の良い男である。
まぁこれも城へと参上するための身嗜み―――云わば大人の事情なのだろう。
「さぁ、姫様?」
男はルシアスに手を差し伸べる。
ッ。だがは彼女はそれを完全に無視して馬車の中へ乗り込み、奴隷と呼ばれたその人とライルも続いて乗り込む。
その様子に男はまた困った顔をしたが、そのまま自分も乗り込んで城へと向かった。
.

