mirage of story

 
 
 
 
 
 


彼等の言う"ガキ"というのは、無論彼等が従うべき隊長―――つまりは先鋭部隊隊長であるあのライルを指すことはこの場に居る誰もが知っている。



遥かに年下。
まだまだ子供とも言える程に若い彼。
だがそんな子供であるはずの彼は紛れも無くこの男達の上司であり、従うべき指導者である。


――――。
先鋭部隊という名だけあって、この男達も魔族の中ではそれなりの猛者達だった。
故に男達には自らの力に対する強い自負があり、自分より若く経験も浅いライルに従わねばならないこの現実に微塵も納得していないのである。




だがこれは国家の決定事項。
男達は納得出来ないながらも、軍人として生きていくためには従わない訳にはいかない。

だから哀しいことにこうしてライル本人の居ない所で大口を叩き、内に溜まったものを日々発散させているという訳。
先鋭部隊が聞いて呆れる程に、そんな男達が哀れに見えて仕方が無い。














「...........そういえば、俺達あのガキに呼ばれていなかったか?」



「あぁ、そういえば!
面倒だなぁ、どうせ出撃命令なんて出ねぇんだから行く必要なんて無いだろう?」




「そうだよな。
どうせまたいつも通り新人の指導とか来賓の護衛とか......楽だが腕が鈍る一方だぜ」




男達いに顔を見合せて、一つの溜め息をつく。







「............ったく、隊長があんなガキだから俺等にはろくな仕事が入って来ねぇんだ!
くそっ、あんなガキ早く辞めちまえば――――」




ガチャンッ。

一人がそう呟きを落とす。
と、同時に後方で聞こえるは扉が開く音。


ッ。その音に全員が一斉に後ろを振り返る。









..........。

静まり返る部屋の中。
言い掛けた言葉を飲み込む男。黙り込む他の者達。



一斉に向けられた視線の先。
そこには開かれた扉と冷静に男達を見つめるこの部屋の主の青色の瞳。 







.