ッ。
ついさっきまで額を濡らしていた汗は、もう乾いてしまっていた。
だがその代わり。
ジリジリとした胃の痛みが彼を襲う。
「────ッ」
キトラは強く拳を握り締めて、自分の中に浮かぶ嫌な予感を無理矢理押し退けた。
嫌な予感。
それは寒気と悪寒を伴う。
拒絶にも似た嫌な感覚。
(......きっと、違う)
痛む胃の辺りを抑えて、心の中でそう願った。
この予感が当たってしまわないことを。
そして何よりあの人の無事を。
――――。
グッと込み上げる不安を抑えて彼は我に戻ったようにふと隣を見る。
「まず、これどうにかして隊長の所に行かなきゃ」
キトラは隣で固まり続ける同僚の姿に小さくため息をつく。
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