ライルは、呆れながら彼を見る。
その顔からはもう怒りは消えてしまっていた。
ッ。
そして不意に思い浮かぶ、今まで頭の片隅に追いやられていたこと。
今からやらなければならないことを思い出す。
「?会議って何かあったんですか、隊長?」
「..............出撃の命令が下った。
俺達、先鋭部隊にだ。
出発は明日の日暮れ。
そのために配置の確認など色々てしなければならないからな」
「出撃、命令?」
「あぁ、俺は先に行ってる。
お前も早く来い」
ライルはそう言うと、くるりと方向を変えて歩き出した。
――――。
数歩前に歩く。
するとそこでフッと何かを思い出したようにキトラを振り返る。
「..........そのお前の隣で固まってる可哀想なお友達もちゃんと連れて来るんだぞ?」
忘れかけていた存在。
まだキトラの隣で固まっている少年兵士に、哀れみの視線を送るとそのまま前へと向き戻る。
そうしてそのまま、廊下の奥へと消えていった。
「...........先鋭部隊の出撃って。
────まさか」
ッ。
ライルの姿が完全に見えなくなる。
丁度そのくらいにキトラは呟く。
それは消え入るような、小さな呟きだった。
「まさか、ね」
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