mirage of story

 
 
 



 
噂好きな彼。
そんな彼がこのように吹聴する噂というのは彼自身が言うように彼の勘や想像に基づいた根拠の無いものが殆どである。




その大抵は事実とは全く異なる下らない噂なのだが。

........。
だが時々、本当にライルが隠していることや秘密などを見破ったような噂も流れるので放っておくのは結構恐い。
彼にはその自覚は何も無いのだが、結構鋭く見破ってしまう彼の勘は侮れないのである。




だから噂が城中に広まり自分の耳に入る度に真っ先にキトラを問い詰める。
キトラ本人は単に噂が好きなだけで悪気はないのであんまり強くは怒れないのだけれど。


その悪気のないまだ純粋なキトラを見ると、つい怒るのが甘くなってしまうライル。
普段は厳しくいつも真面目な彼だが、意外とそんな面も持ち合わせていた。




――――。
怒ってから数ヶ月は暫くは何の噂もなく大人しくしているキトラだが、暫くするとまた噂が城中に広まりライルがキトラの元に駆け込む。

そんな感じのことが続いていた。








「........ったく、お前は。
あんまり俺の変な噂を流すんじゃない。
噂が広まってから数週間変な目で見られるのはもう御免だ」



「.......はーい」




「全く、本当に分かってるんだか。

と、お前がまた変なことを言っているのを見て忘れていた。
キトラ今から会議を始める。
すぐに俺の部屋に来い」







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