そのキトラの自爆発言。
ライルはそれに一瞬、本当に一瞬だけ表情を曇らせるがすぐにまた笑顔に戻る。
「た、隊長?
一応念の為に聞いておきますけど.......今の発言、聞かなかったことには出来ないですよねぇ?」
乾いた笑い。
キトラはライルの方に恐る恐る視線を合わせる。
「まぁ、無理だな」
笑顔のままあっさりと却下する。
........。
笑うライルの笑ってない青色の瞳があまりに怖い。
キトラは直ぐ視線を逸らした。
もうこの時点で、二人の距離は文字通り目の前。
キトラ少年。
若干十六歳にて絶体絶命の危機である。
「キトラ、お前またそんな噂どっから仕入れて来た?
.....ほぉら。
怒らないから言ってごらん、キトラ君?」
「いや......もう十分怒ってますよね、隊長」
うん。
これは完全に怒ってる。
こんな時こそ重ねた実戦が物を言う。
今までの経験上彼がキトラのことを君付けで呼ぶ時は9割9分9厘の確率で怒っているのである。
「いや、あのそれは!
.......うぅ、すみません俺の勘と推測と想像と妄想です!」
「.........。
よくそんな噂思い付くもんだなぁ、それも何回も。
ちょっとお前を尊敬するよ、キトラ」
ライルの顔に浮かぶ笑みに、呆れの色が濃くなった。
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