「い....嫌だなぁ、隊長♪
このよい子のキトラ君がそんなことする訳ないじゃないですかぁ!多分。
アハ、アハハハ!」
一方、にじり寄られる側のキトラは冷や汗混じりの笑みを浮かべながら、全力で白を切る。
キトラも焦ってはいるが、隣を見れば口をパクパクしたまま固まった同僚の姿。
その状態を見れば、とりあえず固まっている彼よりはまだ全然冷静である。
これも日頃こういう状況に出くわすことの多いキトラとの実戦の差であろう。
まぁこれが良い意味であるかどうかはさて置きだが。
「......」
笑顔のまま問うライルと、キトラの距離は、だんだんと縮まる。
ッ。迫られ下がり段々と追い詰められてきた。
――――。
しかも運悪い。
キトラの後ろには壁があった。
いつもなら此処で逃げるキトラであるが、今回は逃げれない。
その状況にたった今気が付いたキトラは、今までの冷や汗が一気に引くのが分かった。
(!)
「べ、別に!
"あの隊長が、姫様と熱愛!?実は情熱的な男、ライル隊長"なんてキャッチフレーズ付けて城中に広めようだなんて、考えてませんよ?
ハハハ.....ハハ」
焦りから来る自爆発言。
言ってしまってから気が付く。
結構間抜けな彼である。
........。
こんなベタな失敗。
今時するものなのか、とライルは逆に感心してしまう。
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