「でも、それおかしくないか?
姫様と兵士、身分が違い過ぎるだろ?
あの慎重すぎるくらいの隊長がそんな駄目だと分かり切ってる恋にはしるか?」
「でもでも!
最近、ルシアス姫様の指輪を持つ人間が見付かったって話があっただろ?あの時から、何か隊長の様子がおかしいんだ。
何か熱くなってるというか動揺してるというかさ、何か可笑しいんだよ!」
「............まぁ、確かに何か最近可笑しいのは俺も気付いているけど」
「だから!
俺が考えるには、隊長は姫様のことが好きで、今姫様の仇を討つためにこの部隊の隊長をやって機会を待ってるってところだな。
あぁ見えて隊長も、なかなか情熱的っていう訳でだな────」
────。
ッ!
「お....おい、キトラッ!」
「ん、何だよ?
――――!」
城のちょうど中央くらいにある広場みたいな空間。
そこでは、兵士が二人。隊長、つまりライルの噂話をしていた。
噂話。
それは、普通は本人が居ない所で語られる内緒の話。
だがそんな時である。
タイミング良く、と言っていいのかは分からないが噂の当事者であるライルが偶然通り掛かったのは。
噂話に明け暮れていた部下である二人のその兵士。
そんな二人にとって非常に冷や汗ものの出来事が今この場で起こっていた。
「あ、あら隊長。
ご....ごきげんよう♪」
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