mirage of story

 
 
 
 
 


 
「──────その言葉遣い、随分とこの環境にも慣れてきたようだな。
随分と軍人らしく、上に立つ者らしくなったものだ」



「.......ありがとうございます」





向かい合うは一国の王とその王に仕える一介の兵士。

当然その主従関係は明らかであり、言葉遣いからもそれが滲み出る。


――――。
正直自分にはこんな堅苦しい話し方は似合わない。
普段仕事上仕方なくこなしてはいるが、あまり堅苦しいのはライルはどうも苦手である。



主従関係は明確。
だが他から見ればこの二人の関係は随分と親密なものであった。

それは前々より、つまりはロアルが王座に就く前より二人には深い関わりがあったためでもあるが―――それでもロアルは一介の兵であるはずのこのライルには他の者には無い思い入れがあるようで、事実このように二人きりでの会話が容易に出来る存在はライルを置いてこの国には他に居なかった。




――――。
一方のライルもその王の意を受け取り、王に心から仕えていた。

ライルにとって王は今の自分へと導いてくれた恩人でもある。
彼の忠誠心はその恩を返そうという意思からでもあった。












「..........今日お前を呼び付けたのは先鋭部隊の出撃を命ずるためだ」







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