解決せずに巡るだけの思考。
その思考に彼の心は余計に焦っていく。











「────入ります」



そんなことを、考えながら歩いていた。
ッ。
彼はフッと現実に立ち戻り、ある扉の前まで来て足を止める。


コンコンッ。
扉を叩いて彼は暫くそのまま返事を待った。










「入れ」



暫くの間。
中から返事が聞こえる。

声は荘厳であり暗く低い。
聞き慣れているはずの彼でさえも少しゾッとしてしまうような声だった。






ガチャッ。

ライルはその返事を聞いて扉に手を掛ける。


――――。ッ。
ゆっくりと開く。
見た目の割には重いその扉は、ギィッと重々しい音を立ててゆっくりと開いてゆく。







ギイィィ....ッ。

そして扉が完全に開くと同時くらい。
またあの低い声が開いた部屋の奥から聞こえる。


壁を隔てて聞くさっきの声より、幾らか凄味の利いた低い声が鼓膜を震わした。











「遅かったではないか、ライル」



感情の籠もっていない暗く低いその声が、部屋の空気をグッと震わせた。





「申し訳ありません。
隊員等の集まりが遅く、その指示に時間を取ってしまいました」



ライルは扉の中へ一歩入ると、その場に膝を付いた。








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