「相変わらずしつこいわね。
それにその無愛想な顔。だから誰も寄り付かないのよ、全く。
これ以上嫌われたら、本当に誰も寄り付かなくなるわよ?」
エルザはからかうような口調で、そう言う。
あのロアルの強圧的な雰囲気を前に、何という度胸。
シエラは心の中で、感服した。
「それを言うなら、お前の口の悪さも変わらんな。
それにその度胸。やはり女とは思えぬな」
ロアルは、エルザの言葉に切り返す。
まるで子供の喧嘩のような会話。
そして、しばらくの睨み合い。
お互い、一歩も引く気はないようだった。
「.......まぁ、いい。
お前が口を割らずとも、指輪を持つ者は、もうすぐこの場所に現れる。
.......必ずな」
睨み合いを破ったのは、ロアルの言葉と不気味な笑みだった。
そのロアルの言葉に、睨み付けていたエルザの顔色が一変する。
「お前....あの子に何かしたのっ!?
言いなさい!あの子に、あの子に何をした!?」
エルザの言うあの子とは、紛れもなくシエラのことだろう。
「いや、まだ何もしてはいない。
ただお前の字に似せた字で、この丘で待っているという言伝をお前の家に、置いてきただけのことだ」
ロアルの口から、何か勝ち誇ったような笑みが零れる。
「.......その伝言に、さっきの爆発音。そして、この立ち上がる煙。
あの娘が此処に来ぬ理由など、なかろう?」
「――――ッ」

