mirage of story








確かロアルは、この指輪を見た時にひどく驚いていた。




(あんなに驚いたのは、探していたその水竜の指輪っていうのを、私が持っていたから?)




そうかもしれない。
あの時のロアルの驚き方を、何かおかしいと感じたのもそのせいだろう。








「......この村に水竜の指輪を持つ者がいることはもう分かっているのだ。
その者がお前を母のように慕っているということも。

―――だから私がわざわざこんな人間どもの村まで来ているのだよ。
指輪を持つ者が慕っている女がお前だということは.....意外であったがな」



「......私だって、またお前に会うだなんて思ってもみなかったわ。
出来ればお前のその面、二度と拝みたくはなかったね」





そうお互いを嘲るように笑い言う。

笑っている。と言っても目は恐いくらい真剣だったが。







「.....さぁ、そろそろ白状してもらおうか。
お前との会話にそう時間をかける程、私は暇ではないのだよ」