そのメモを見る度、まだ自分のことを小さな子供だと思っているのだなとシエラは思うのだ。
嬉しいことではあるが、少し恥ずかしくもあった。
だから今回のこの紙切れだってそのいつものものだろう。そう思うのだけれど。
(何か....変だわ)
シエラは何故だか分からないが、この紙切れが何だかいつものものと違う気がしていた。
正体の掴めない違和感。
シエラはさっきから感じるそんな違和感が何かを確かめるため、もう一度紙切れをじっと見てみることにした。
.........。
そしてしばらくの紙切れとの睨み合い。
シンッとする部屋の中が、一層静かになる。
(字が何か違うのかなぁ)
しばらくの睨み合いの結論がこれだった。
字を改めて見るとエルザの字に本当によく似てるのだが、微妙に違っていることが分かったからだ。
ほんの少しの違い。
彼女だからこそ気が付いたこの違い過ぎるに、シエラは戸惑った。
(どうしよう....もうすぐ外暗くなっちゃう。
でも何かこのメモ怪しいし)
もしこのメモが本当にエルザからの伝言なら、迷うことなくシエラは丘へと向かったはず。
だけど今回は、このメモは違う。
心の中のそんな直感がシエラを足止めさせていた。
――――ドォオーンッ!
シエラの迷いの感情。
どうしようかと考えを巡らせる思考を、突然の大きな音が断ち切る。
「何っ!?」
その大きな音は外の方からした。
何かが爆発したそんなような音で、その音の余波で少し家が揺れる。
バンッ。
シエラはその音に反射的に外へと飛び出す。
外へと出たシエラは、どこからか風にのり運ばれてきた煙の匂いを感じた。
(やっぱり、さっきの音は何かが爆発した音?)

